2011年 09月 09日
『 Un po' del nostro tempo miglione(ロマン組曲)』(1975) 昨日のブログにちょっと書いたけど、毛利氏繋がりで今日はイ・プーの紹介である。 何の予備知識もなく、10代のある日(1976年頃?)、 NHKFMから流れてくる音楽を聴いた。 今思えば場違いのように昼12時(!)からの一時間番組で、 その週はユーロ・ロック系の特集をやっていたらしく、 プログレ系かも?と思ってカセットに録音しつつ (いわゆるエア・チェックというやつである)、 このイ・プーの6thアルバム『ロマン組曲』を初めて聴いた。 (でもそんな昼間っぱらから、なんで聴けたんだろ?高校生だったのにねえ。 テスト期間だったっけ?・・・・まったく記憶がないが、まあいい) 一曲目から映画音楽を思わせるオーケストラの入った悠揚なインスト曲。 このアルバムは、旧A面B面の冒頭各1曲目にインスト曲があり、 その調べに乗って、 イ・プーのスウィートな幻想世界に入っていくという構成のようだ。 2曲目で、はじめてヴォーカルが登場するが、その声を聴いた瞬間、 ”おお!イタリア~!、地中海~!”と、叫んでしまいたいくらい (ちょっと大げさか(^_^;))、 異国ヨーロッパ、イタリアの森へ迷い込んでいく・・・。 どの曲も演奏がすごいというわけではない。 もちろんソロの応酬なんてない。激しくもない。 でも心を揺さぶるメロディがあり、歌がある。それだけで充分。 メロディは全て美しく、歌はどれも切なく、優しい。 このアルバムには、ほとんど全ての曲にオーケストラが入っている。 役割分担として、キーボードはピアノとチェンバロの演奏にほぼ特化しており、 バンド全体の音も非常にシンプルである。 そして4人の演奏に加わる厚みのあるオーケストラがスケールを広げ、 夢見るような壮大なサウンドに仕上げている。 誰がオーケストラ・アレンジをしているのかは知らないが、 クラシック音楽にかなり精通した人のワザである。 さて、イ・プーのプログレ期のアルバムとして、 当アルバムと『PARSIFAL(パルシファル)』を挙げている評論も多いが、 ぼくはどちらもプログレとは感じない。 ブラジルのサグラドとかスウェーデンのムーン・サファリを 聴いた時にも感じたことだが、 プログレ、あるいはロックと定義する前に”優れた美しい音楽”であるということ。 それをイ・プーの音楽にも感じる。 そんな思い入れの強いイ・プーであるが、 長い間LPもCDも持ってなかった・・・(^_^;) 高校の時録ったカセットをずっと聴いていたのである。 ようやく数年前にCDを購入、再び懐かしい音に出会った。 CDを聴いてみて、あらためて、 当時のNHKFMはアルバムとまったく同じ曲順で放送したんだ!ということに気づく。 ただ一点を除いて・・・。 ラスト10曲目。フェイド・アウトで終わると思っていた (カセット=放送ではそうなってる)が、 続きがあったのね(-_-;)・・・・オンエアの都合でカットしたのね。 30年ぶりに解ったよ。フェイド・アウト・・・なんか変な終わり方だったもんね。 このラスト曲は曲想がいろいろ変化し、ある意味一番プログレというか、 クラシカルな雰囲気のある曲である。 この後奏にオーケストラ曲がくっついて 映画のエンドロールのようにアルバムは終わる・・・。 この構成からすると、アルバム一枚が一つの組曲と言えるかもしれない。 本当に聴きごたえ充分のアルバムだ。 その後、他のCDも買ったけど、ぼくにとってはなんといっても『ロマン組曲』である。
by gwingermau2
| 2011-09-09 19:24
| プログレ名盤
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