プログレッシヴロックバンド " MAU2/マウマウ " のオフィシャルブログ
2011年 10月 03日
axis 『 seasons 』
d0181930_136113.png


桜の枝花越しに女性が物思いにふける様のジャケットが、
”和”を意識したコンセプトを伺わせる。
中ジャケの歌詞も縦書きであり、それを印象付ける。

しかしながら、曲が流れだした途端、
音圧感のあるロック・ギターのメロディに、
いわゆる”和”、”日本情緒”全開の音楽ではないことが示される。

axis(アクシス) 3rd 『seasons』

インディーズ特有の、アマチュア感というか
音が流れた途端のある種の違和感(慣れる時間が必要な)などまったくなく、
メジャーのアルバムのようなゴージャスなサウンドにまず度肝を抜かれる。
ジャンル分けをする必要はないかもしれないが、
J-POPの質感というのが、第一印象である。

axisは、バンド名もそうであるが、
題名の『seasons』も同様に小文字表記である。
アルファベットの小文字にこだわりを持っているみたいだね。
実際、大文字『SEASONS』と記して比べてみると、
陽というよりは陰、大胆というよりは繊細、
そんな印象を与える。

また『seasons』は、複数形であり、
”巡りめく季節”あるいは“季節は永遠に移ろいゆく”という意図も汲み取ることができる。

axisのHPを見ていて気がついたのであるが、
ヴォーカリスト山田朝美のブログの題名も『seasons』。
今回のコンセプト、特に歌詞やその世界観には山田が強くかかわっているのだろう。
またサウンド面では、ギターの白井昭彦が主導しているようだ。
さらっと表面だけ聴くとわからないかもしれないが、
axisの特徴でもある仕掛けが多く、よく練られた曲作りと、
音楽に対する真摯な姿勢には、ただただ脱帽である。

1曲目と2曲目が繋がっているので、それを一曲とみなせば、
全12曲、つまり各曲が12ヶ月をテーマにした構成となっている。

一『前奏曲 ~hope~』は、ギターのサスティーン・サウンドが気持ちのいいインスト曲。

二『櫻』は、言ってみればシングル扱いの”アルバムの顔”とも言える曲であろう。
前の曲から続いて入るその歌声は優しくてスウィートだ。
人の心にすうっと入ってくる癒し感のあるその歌声はaxis最大の魅力である。

三『凌霄葉蓮』は特に好きな曲の一つである。
TOTOの響きを思わせる大人のアレンジとサウンド。
特に田中隆司のキーボード・ワークは、
この曲に限らずだが、押さえ気味ながら知的でクールな印象である。
サビの”新しい世界へ~”という箇所が印象的。

四『ぬちぐすい』は、谷山浩子の世界にも通じるホッと一息つける曲。

十『明けましておめでとう』のように、非常に短く挨拶のようにあっけなく終わる曲や、
十二『みやこわすれ』のように“坂本龍一的日本的情緒”を漂わせたしっとりとした曲・・・。
様々な曲調の曲で構成されているが、
基本的には聴きやすいJ-POP的展開の歌メロと、
その裏とても複雑で凝ったアレンジとの組み合わせがaxis的だ。

プログレ的見方からすれば、
最大の聴き所は七『小動~僕の夏の終わりに~』と、九『9番目の月』である。

七『小動~僕の夏の終わりに~』は、歌メロこそ典型的なJ-POP風であるが、
中間部のメタル的展開が小気味いい。
この曲は、確かmixiで異なるアレンジをいくつか聴かせていただいた記憶のある曲である。
axisは、まったく異なるアレンジを何プランも作成し、
音色も含め細部にいたるまでメンバーで吟味修正を加えていくという。

九『9番目の月』は、もっとも好きな曲である。

ドリーム・シアターを思わせるイントロから一転、
コーラスのかかったギター・カッティングをバックに歌が入る。
こんなアレンジからも、axisはギター主導のバンドなんだなあと実感する。
ぼく(銀河)の例で申し訳ないが、ぼくなら間違いなくキーボード、
そうだなあ、ピアノのコードかアルペジオ、
あるいはパッド系のシンセ+アルペジオあたりを選択しそうだ。
曲を創る人って曲の骨組みを自分の担当楽器で埋める傾向があるように思う。
しかし、この曲の場合はギター・カッティングで正解である。曲の良さを引き出している。
粗々しいというよりは曲のスケール感をこのカッティングで表現している。
このカッティングが曲の全体を支配しているようにも思う。
実際、ラストはカッティングの”ジャラ~ン”の響きで現実に引き戻されるように終わる。
今回のアルバムでも最重要な曲の一つであろう。

一三『暮の春』は、浮遊感のあるサウンドにのって、
しっとりと歌が入る。途中のギターの音が心地良い。
印象的なシンセの音が残り、フェイド・アウトしていく・・・。

全曲を聴き終えて、また最初に戻って気がついた・・・。

一三『暮の春』と一『前奏曲』は元々一緒の曲だ。
もっと言えば『前奏曲』は元々『暮の春』の後奏部だったんじゃないかな?
この後奏の部分を切り離し、あえてアルバムの一番最初にインストで持ってくることにより、
アルバムのエンドレス性を表現したかったのではないか?
そしてこのアイデアでもって、今回のアルバム・コンセプトは完成したのではないか、と見る。

それから、最後になってしまったが、
全曲のリズムを支える奥津岳のドラムがいい。
タイトでパワフルなドラミングがとても魅力的で、ぼくは好きだ。
彼のドラムが入ることで、どの曲にも瑞々しい息吹を与えている。

d0181930_1365991.png


Jプログレ界の中でも即興インスト系とは対極に位置し、
J-POPやJロックとプログレとのボーダーに位置するバンドといえそうなaxis。

プログレ・マニアというよりは万人に聴いてもらいたいアルバムである。
[PR]

by gwingermau2 | 2011-10-03 19:04 | プログレCDレビュー | Comments(2)
Commented by 業務の田中 at 2011-10-03 22:21 x
とってもとっても、聴いてくださってありがとうございます。
また、すばらしいお言葉ありがとうございます。
今回、キーボードはアルバムのコンセプトに合わせて創りこみました。
新しい自分への挑戦でもあったので、勉強になったアルバムです。
MAU2様のNEWアルバム、期待してお待ちしております。
ありがとうございました。
Commented by gwingermau2 at 2011-10-04 18:48
田中さん、axisのメンバーご本人からコメント下さいまして、
本当にありがとうございます!
この『seasons』を拝聴してあらためて、
axisの音楽性の高さ、
テクニックのすごさ、プロフェッショナル度を実感しました。
素晴らしいバンドですね。
更なるご活躍を陰ながら応援しています。

MAU2のアルバムのことも触れて下さって、
合わせてありがとうございます。
こちらも険しい道程ですが、
axisの完成度に少しでも近づけられるよう、がんばります!


<< 燃えよドラゴンズ観戦      台風一過 >>